2015年8月27日木曜日

JB23 後部座席の座面の取り外し

2015.Aug.27
2016.Feb.27 改稿

ジムニーは後部座席を畳んで荷室として使える。しかし、フルフラットにしようとすると、立てた座面が前と後ろを衝立のように分断する。座面を外すのはボルト2本なので難しくはないが、いちいちスパナやボックスレンチを使いボルトを外して、また、はめてと繰り返したくはない。ワンタッチとまで言わないが、工具なしでできるようにしたい。

 座面はヒンジふたつで室内床に固定してある。床側は鉄、座面側は座面本体のプラスチックと一体成型である。ヒンジのピンは片面をカシメてある。

 作業しやすいようにボルトを外して座面を外す。サンダー(ディスクグラインダー)でヒンジのピンの頭(もしくは尻)を削る。これでヒンジは分解できる。床面側の部品を元通りボルト締めする。
 必ず座面を車体から取り外して、車外で作業すること。サンダーの削りカスは火の粉(高温の光る鉄粉)である。シートの表皮にコゲ穴を作ることになる。車内に残っていると怪我のもとになるし、ゆくゆく錆を生じていらぬ所にサビ穴を作る原因になる。また、シート座面にも新聞紙やウエス等で覆いをして作業するとベスト。保護メガネの着用と革手袋も必須。
 
 サンダーを使い慣れている方はご承知の通り、工作物は高温になる。座面のヒンジは車体側が鉄、座面側はプラスチックの一体成型である。鉄のピンの頭を落とす際にサンダーを当てると、ピンは火傷するほど高温になる。ヒンジのプラスチックも高温にさらされる。上手く切れない時は、ヒンジの温度が上がり過ぎないようにインターバルを取りつつ作業する必要がある。

 ホームセンターでヒンジのピンとほぼ同径のステンレスヒートンを4本購入。万力に固定して、ヒートンの頭の環を叩いて曲げる。曲げる理由は写真を参考にして下さい。

 ヒートンのシャフトが長すぎる場合は、サンダーでカットし、先端を円錐台か球形に加工する。

ステンレスヒートンで固定した状態を座面を立てて撮影。

なお、最後の組み立て時は、
この状態でボルトでボルト締めして下さい。
ボルトを締めると右回りのトルクが掛かり
ヒンジの向きがずれてしまいます。
座面が上手く取り付けられなくなります。

 2本のヒートンの頭の環をショックコードでつなぐ。長さは伸ばしてヒートンがヒンジから外せ、力を加えない状態でヒンジから抜けない長さにする。

座面単体にヒートンをはめてみた状態。

ヒートンの先端は円錐台にカットされているのでヒンジの穴に入れやすい。分解前のヒンジのピンは中空の円筒だったので、強度的にはこちらのほうが強い。

床面のヒンジにヒートンをはめた状態。
頭の環を曲げる理由は、シート座面に当たらないように。

 ヒートンと私は呼んでいるが、ロープ止めと言うらしい。

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 ヒンジのピンの直径が実測 6.0mm であった。従って、ヒートンも 6.0mm 径でピッタリ。もしきつくて入らない時はヒートンのシャフト部をペーパーがけして細くするか、ヒンジ穴をリューター等でほじくるかすると良い。ただし、あまり穴を大きくするとヒンジの強度が低下するし、ガタが出てしまう。


 使用した工具は、

 1. ディスクグラインダー
 2. ボックスレンチ
 3. 万力

 である。


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 一枚目の写真の説明にもあるように、最後の組み立て時は、この状態でボルトでボルト締めすること。ボルトを締めると右回りのトルクが掛かりヒンジの向きがそれぞれ右向きにずれてしまう。そうなると座面が上手く取り付けられなくなる。

 仕上げに、ヒートンとヒンジ穴には呉のシリコングリースメイトを薄く塗布すると滑りも良くなる。

 ちなみにこのシリコングリスは車のドアのあおり止め(ドアのヒンジの上下のほぼ真ん中にある平たいバネ板のようなもの)にも使える。プラスチックを侵食しないので用途が広い便利グッズ。


 後部座席左右とも同じ加工をしたので、脱着は簡単。

 これでジムニーが本当のフルフラットになる。

取り付け完了状態。
ヒートンの頭の環を曲げた理由は、
ショックコードがヒンジに干渉しないためと、
ヒートンの抜き差しを容易にするためである。

運転席後部は座面を立てた状態。
助手席後部は座席使用状態。
どちらも改造前と何ら変わらず機能は維持。


 余談だが・・・、
 ホームセンターの1,000円程度の工具セットは家庭の主婦には便利かもしれないが、趣味でいろいろやりたい人には「安物買いの銭失い」である。

 かく言う私も、980円工具セットを3セット駄目にした。ネジは舐めるは、ボルトの角は無くなるは、車や部品は壊すは、怪我はするはで散々ひどい目にあった。

 ドライバーを始めスパナ、メガネレンチ、ソケットレンチなどの基本工具だけはせめてJIS規格品以上を揃えておくほうが無難である。最初は高過ぎると感じるが、趣味で使用する分にはほぼ一生物になる。良い工具を持っていると使いたくもなる。大切にするし、仕上がりも良くなる。

 スナップオンはとても手が出ないが、KTCやTONEあたりだとおすすめ。
 私はドライバーだけはベッセル。あとはほとんどKTCである。この辺は好みの問題。KTCのネプロスは欲しいけど手が出ない。私がKTCを購入した時にはネプロスシリーズはまだ無かったのがホントに残念。


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8 件のコメント:

  1. ナイスアイデアですね。自分もJB23の1型を所有していますが、フルフラットをあきらめていました。グラインダーでピンを分解すればいいんですね。
    こほさんのやり方を真似してみようと思います。ありがとうございます。

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    1. Nomadさん。おはようございます。

      ピンは鉄ですが、ピンが付いている座面の底はプラスチックです。サンダーでピンを削る際は長時間ディスクを当てると発熱してプラスチックが溶けることが有りますのでご注意下さい。

      ピンのカシメ部分の凹部からピンと同経のドリルでカシメ部を削り取る方法もあります。その際は半端側の頭をバイスグリップ等で固定して下さい。

      いずれにせよ、プラスチックを溶かしたり、削ってしまわないよう、充分ご注意下さい。

      コメントいただきありがとうございます。

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    2. 追記です。

      なお、作業は、座面のヒンジと車の底を止めているボルトを外して、座面自体を車外に取り出して行って下さい。作業性も良く、金属のカスで車内が汚れることも防げます。

      ヒンジの金属を車の底に取り付ける際は、ヒートンを使って座面にヒンジを組んだ後に行うと、ヒンジの金属の向きがずれることを防げます。ヒンジの金属だけで車の底にボルト締めをすると、いざ座面を取り付ける際、座面のヒンジ部分が嵌まらないことが有りました。

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    3. こほさん、細かな説明をしていただき感謝です。
      実は、グラインダーも、これから購入する様な状態で、
      とても不安だったのです。細かく説明して下さり、
      何とかちゃんと出来そうに思えて来ました(笑)
      もし、分からないことがあった時は質問させてください。
      ありがとうございました。

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    5. グラインダーの購入がこれからということですので、
      できれば変速ディスクグラインターをお勧めします。ディスクの回転数を調整できますので、使い勝手が良いです。
      また、切断砥石の0.8mm厚か1.0mm厚があるとこの作業はやりやすくなります。
      DIY工具紹介部というウェブページが参考になります。
      http://diytool.biz/disk_grinder
      ディスクの種類も詳しく載っています。
      http://diytool.biz/disk_grinder_grinding_stone_kind

      必ず保護メガネと革手袋をして、安全には充分にご注意下さい。
      実を言う私も何度か火傷と怪我を経験しています。(^_^;)

      上手くいきますように。

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    6. こほさん、細かなご説明をありがとうございます。
      グラインダーは、予算の関係があるので
      お教えしていただいた物が購入できるか分かりませんが、
      なるべくこほさんの言われる物を購入したいと思います。
      ありがとうございます。

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